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日本の収納ビジネス(レンタル収納・コンテナ収納・トランクルーム)及びセルフストレージ市場について、市場環境の視点から10回にわたってレポートします。
日本の収納ビジネス及びセルフストレージ市場について、市場環境の視点から10回にわたってレポートします。 第1回 収納ビジネスとは? 第2回 人口・世帯数のマクロトレンドと収納サービスの利用者の拡大 第3回 住宅と収納ビジネス 第4回 「レンタル収納」と「コンテナ収納」 第5回 「レンタル収納」の市場トレンド 第6回 「コンテナ収納」の市場トレンド 第7回 不動産ビジネスとしての収納ビジネス 第8回 GISデータからみた収納ビジネス 第9回 生活者アンケート結果から見る収納ビジネス 第10回 今後の収納ビジネスの可能性
第1回で、収納サービスを大きく3つのカテゴリーに分類しました。一般的にレンタル収納・コンテナ収納ともに「トランクルーム」と分類されるケースが多いですが、今回はそのうち「レンタル収納」と「コンテナ収納」について比較してみたいと思います。そして最後にトランクルームとの比較についても少し触れさせていただきました。
※着色部を「収納サービス」として定義しています 上記図のとおり、収納サービスをサービス内容・契約内容・預かり荷物等を考慮してサービスを体系化してみました。 契約者に対して、不動産賃貸借契約で契約するサービスを「レンタル収納スペース」とします。その中で、「レンタル収納」と「コンテナ収納」に分類しています。それでは、「レンタル収納」と「コンテナ収納」は何が違うのでしょうか。
レンタル収納とコンテナ収納を上記表のとおり、6項目で比較してみました。 そのうち大きく異なるのは、場所・セキュリティ・空調管理の3項目となっています。 <場所> レンタル収納は、主にビルや倉庫などの建物(建築物)の中を区切って収納スペースとしているサービスとしています。ただし、なかには輸送用コンテナを組み合わせて(積上げて)建築物として建設した中を区切って収納スペースとしているケースもあります。 コンテナ収納は、主に屋外(駐車場や更地等)に輸送用コンテナの中を区切って収納スペースとしているサービスとしています。また、一般の戸建住宅の庭等に設置される鋼製物置を活用して収納サービスを提供しているケースもあります。 <セキュリティ> レンタル収納のセキュリティについては、建物もしくは収納スペースのあるフロアにセキュリティがかけられているケースがほとんどのため、契約者以外は収納スペースに入ることができません。さらに、それぞれの収納スペースに鍵が取り付けられているため、セキュリティ機能は高いといえます。一方、コンテナ収納のセキュリティについては、コンテナなどが置いてある敷地への立ち入りは原則自由となっているため、コンテナに取り付けられている鍵が唯一のセキュリティとなります。最近では、敷地の周りにフェンスを置いて敷地内侵入を防ぐ等の対策が講じられているケースもあります。 双方ともに、防犯カメラの設置がされている点は共通のセキュリティといえますが、コンテナ収納では、防犯カメラの設置がなされていない事業者も少なくないのが現状です。 <空調管理> レンタル収納の空調管理は、温度・湿度を年間通して一定に管理している事業者から換気のみの事業者まで、事業者によって考え方が異なっています。建物の中といっても、地階などでは湿気が多いため除湿器を置いていたり、最上階では室内温度が上昇しやすいために夏場に扇風機を置いていたりと、一言で室内といっても環境・条件が異なるため、それぞれの施設ごとに空調管理を行っているものと考えられます。したがって生活者視点で言えば、自宅の「押入れ」で保管している状態とほぼ同じといえます。 一方、コンテナ収納の空調管理は、コンテナに設けられている換気口による自然換気のみとなっています。夏場には室内温度が高温状態になってしまうことから、天井部分等に断熱材を敷いている等の対策を講じているコンテナもあります。したがって生活者視点で言えば、屋外の物置や車庫で保管している状態とほぼ同じといえます。 ちなみに、契約形態・保管荷物・保険といったところは、ほぼ同じです。強いて違いを挙げるならば、保管荷物の規則としては双方ともにほぼ同じですが、「空調管理」のところでも述べたように、自宅内に保管しているような荷物を保管するには「レンタル収納」、屋外や物置で保管しているような荷物を保管するには「コンテナ収納」といった違いがあると考えられます。しかし、利用者自身がどのように利用するかは決められるため、どちらの答えが正しいといったものではないし、利用者の生活範囲内に双方の収納スペースが比較できるような状況にはないため、価格や自宅との距離が優先されてしまうのが現状です。
一般的にレンタル収納・コンテナ収納ともに「トランクルーム」と呼ばれるケースが多い。「荷物を自宅以外に預ける場所=トランクルーム」という認識をされている方が多いものと考えられます。しかし、冒頭の「収納サービス別の体系図」にもあるとおり、本調査ではトランクルームはレンタル収納・コンテナ収納とは別なサービスと分類しています。 トランクルームは、倉庫業法に則った保管サービスのひとつです。事業者が荷物を預かるにあたっては、相応の責任を負うことになっています。トランクルームを展開している事業者の中には、貴重品(現金・有価証券・宝飾品等)を取り扱う事業者もあります。一方、レンタル収納スペースは「場所貸し」なのでセキュリティが厳重ではありますが、貴重品を預けられるようなセキュリティレベルではありません。 また、レンタル収納スペースは24時間365日自由に荷物の出し入れをすることができますが、自分で持ち運びをしなければなりません。しかし、トランクルームの場合は、配送サービスまでが責任の範囲となるので、ドアtoドアで荷物を受け渡し・受け取りすることができます。ただし、荷物を保管場所に取りに行く場合、倉庫事業者の営業時間内(また土日が休みの場合も多い)に行かなければならないという難点があります。 トランクルームは、保管する荷物を最優先に考えられたサービスであるのに対して、レンタル収納サービスは保管する荷物の所有者(収納サービス利用者)を最優先に考えられたサービスというように、例えることができます。 先程と同様に、トランクルームとレンタル収納とコンテナ収納のどれが最も良いという回答はおそらくありません。利用者自身が収納スペースを使う目的にあわせて、収納サービスを「選ぶ」時代になってきています。ただし、まだまだそういったことが利用者に正確に情報が提供されている状況ではないですが、より多くの方に収納サービスを利用いただきたいと思います。
矢野経済研究所とは 様々なビジネス分野の市場規模、企業シェア、将来予測、メジャープレイヤーの動向等、マクロやミクロの視点から当該テーマを総合的に調査、分析。 成長を続ける収納ビジネス分野においてもいち早く着目し、2010年より徹底した取材に基づく詳細な調査レポートを供給。 従来、市場に関する情報の乏しかった収納サービスにおけるビジネスの将来性、ポテンシャル、課題を分析し、収納ビジネス業界の透明性向上に大きな貢献を果たしている。
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