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貸出金利息収入が増加へ ―横たわる預金利息への負担増【2】


主要金融機関による貸出金利息収入が増加傾向に転じている。大手行を中心に収入が回復し、総貸出金が増えているにもかかわらず、利息収入が減るいびつな収益構造からは脱しつつある。ただし、預金利息への負担増は変わらず、本格的な回復には途半ばだ。2017年9月期の業績を分析する。

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不動産業向けシェアが一定の底支え 地銀の収益構造の厳しさは解消せず

貸出金がプラスに転じても預金利息が上回る状況で、金融機関の経営状況は依然として厳しい。こうした中で、不動産業向けのシェアが一定の底支え効果を生み出していることも事実だ。17年9月期の不動産業向け貸出金の期末残高(以下、不動産向け残高)は、総額73兆5224.64億円(前年同期比4兆5376.15億円増、6.58%増)。総貸出残高(527兆9770.52億円)に占める不動産業向け貸出割合(以下、不動産シェア)は13.17%で前年同期比0.10Pアップした。
不動産向け残高トップは、三菱東京UFJ銀(残高6兆9224.53億円、578.34億円増)。これに三井住友銀(6兆5073.57億円、1兆1902.25億円減)、みずほ銀(6兆86億円、1383億円増)、りそな銀(5兆382億円、3068億円増)、三井住友信託銀(3兆3098.65億円、770.65億円増)が続く。

上位10行までの全セクター向けの総貸出は、前年から12兆983.28億円(3.86%)増加し、不動産向け残高は1928.73億円(0.50%)増。これを上位20位まで広げると、総貸出3.94%増に対して不動産向け残高は4.06%増まで広がり、30位では3.85%増に対して4.62%増。全金融機関の総貸出は前年同期比5.74%増に対して、同不動産向けは6.58%増となり、上位機関だけに止まらず総じて貸出に関しては明らかに不動産向けが支えていることがわかる。

ただ、16年9月期に見られた貸出金利息収入の伸び率上位と不動産向け残高の伸び率上位との相関性は見られない。貸出金利息の伸び率が2位の三菱UFJ信託銀は不動産向けは93位、3位の三菱東京UFJ銀は71位、4位の三井住友信託銀は71位、5位の三井住友銀は97位と、いずれも逆相関している。

金融機関は貸出金の増加に伴い利息収入も上向く一方で、預金利息への負担増が重くのしかかる。その点、本格的な収益増には途半ばだ。とりわけ地銀の収益構造の厳しさの解消はつながっておらず、貸出金利息収入はほぼ横ばいに止まっている。地域における資金需要を創出すべく、地域を見据えた金融機能が求められている。(「不動産経済ファンドレビュー」2018年1月25日号)

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