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【特別寄稿】不動産マーケット・フォーカス 不動産マーケットで今注目されている動きとは? その背景や今後の見通しは? 不動産マーケットの今を連載・深堀りしていきます。(不動産経済研究所が発行する「不動産経済ファンドレビュー」の連載「FOCUS」を再編集して掲載)
リテール市場への投資動向が旺盛だ。他のアセットとは違いボラティリティが大きいためそこを目指して狙う投資家がいる一方で、オフィスと並んだアセットとして長期安定を目指した政府系資金が注がれたことも記憶に新しい。古くて新しいリテールアセット市場の動向を見る。
「こういう物件に投資するのだがどうだろううか」「今のマーケットはどうなのか」。CBRE にはこうした質問が週に2~ 3件は寄せられているという。投資家の目はリテールアセットに向いており、それは都心のプライム立地だけに止まらず、周辺エリアにも及んでいる。 CBREによると、商業施設の期待利回りは過去最低を記録し、オフィスとほぼ同じ水準になっている。 賃料感だが、たとえば銀座の路面店舗の賃料相場は2015~ 2016年前半が過去最高とされている。これは賃料が高めだったリーマン・ショック以前を超えている水準で、賃料が高騰していた。その背景にあったのがインバウンドの需要が急激に伸びた事。インバウンド需要を取り込もうとしたテナントの出店競争がかなり過熱した時期といえる。その中ではもちろん、賃料負担能力が一番高いラグジュアリーブランドも含まれていた。それが2016年後半から賃料水準が徐々に下がってきて、過熱感が落ち着きをみせはじめ、現在は2014年の水準になっている。CBREが試算した「ハイストリート賃料」によると、銀座のハイストリート全体の平均は、2014年第4四半期で25万~ 26万円の水準にあった。それが2015~2016年にかけて上昇し、2017年第4四半期で2014年と同水準に戻っている。これもインバウンドに影響を受けている。インバウンドの消費志向が、高額品から日用品にシフトしたことが要因の1つになった。ただ、銀座の中でも賃料が特に一番高いところ=銀座4 丁目の交差点は、10期連続して横ばいの40万円(月/坪)で賃料水準はまったく下がっておらず、希少価値は変わっていない。なかなか賃貸マーケットに出る案件はないが、もし空けば、誰かが2015年第2四半期から変わらない相場観で出店すると見られている。
プライム立地である銀座であれ表参道であれ、一等地といわれるところは当然需要が強いし、テナントが出店したいところは一等地かそれに順ずるところを選んでいるので、極端に賃料が下がることもない。リーマン・ショック後に少しマーケットが悪くなり、銀座並木通りの5丁目で少し空室が目立ったこともある。しかし半年後に復活している。そのときに安く決めたテナントがいるものの、その後は高く決まっている。だから少し我慢すれば賃料は戻る。また銀座・松屋通りは事例として上がっていた。マーケット感で捉えるとどうしてもリーマン後に下がってまた上がって、インバウンドの消費で上がり、今は落ちているような感じもあるものの、どんどん下がっているわけではない。売買のCapレートが3%を切ったという話もある中で払えるテナントの数は減ってきている。いかにしてマーケットで高い賃料を払えるテナントを捕まえにいくか。一部ではリーマン・ショック前の高い賃料を更に超える賃料になるなかで、高い水準で決めようとしたら簡単ではない。もう少し低いところで見ればテナント候補はいる。 JLLもマーケットの見方はほぼ同じ。ここ数年投資総額は低金利環境と賃料の上昇期待の中で売主と買主の価格に対する目線の乖離が大きくあり、取引が成立しにくい状況が続いている。投資総額が抑制されてきたが、直近では賃料が高値圏で上昇率低下が続く中で、徐々に買主側が売主側の目線に合わせていう形で目線が合い始めている。積極的についていこうとする買主が増えており、ノルウェーの銀行による表参道の物件取得は、「超長期の投資家にとってもプライムリテールが安定成長が見込める投資適格物件を提供するセクターである事を示唆している」(岩永直子リサーチ事業部マネージャー)と見る。
「不動産経済ファンドレビュー」とは 株式会社不動産経済研究所が発行する不動産金融の専門誌。不動産投資マーケットや不動産業界に関する最新動向、注目の企業・人物、大型物件の取引事例、話題の開発プロジェクト、バリューアップ事例などを紹介。Jリートのパフォーマンス分析、金融機関の不動産関連投融資データ分析、業界通による覆面座談会なども掲載する。月3回発行、2005年3月に創刊。 株式会社不動産経済研究所ホームページ
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