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【特別寄稿】不動産マーケット・フォーカス 不動産マーケットで今注目されている動きとは? その背景や今後の見通しは? 不動産マーケットの今を連載・深堀りしていきます。(不動産経済研究所が発行する「不動産経済ファンドレビュー」の連載「FOCUS」を再編集して掲載)
女性の進学率向上や留学生の増加を背景に、注目度が高まってきた学生寮。大手デベロッパーや外資企業などの新規参入が進む中、国内外の投資家が新たな投資対象として目を向け始めている。先行する欧米のように、今後日本でも学生寮投資は進んでいくのか、レポートする。
「国内外投資家の学生寮ファンドに対する関心は高い」。 丸紅や東京建物と共同で学生寮の開発型ファンドの立ち上げを目指すみずほ銀行には、海外のソブリンウェルスファンドや国内の大型機関投資家などから学生寮ファンドに関する問い合わせや出資・参画の打診が相次いでいる。 同ファンド事業を推進するみずほ銀・不動産ファイナンス営業部営業開発チームの高田修次長は「海外投資家は特化型リートがいくつもあり投資が活況を呈している欧米の事例を踏まえ、日本でも同じような流れになると見ている」と話す。学生寮の投資マーケットが登場することへの期待感が高まっていると実感する。
欧米では、すでに学生寮の投資マーケットが確立されている。米国には学生寮に特化したリートが3銘柄あり、最大手のアメリカン・キャンパス・コミュニティーズは約200物件を保有する。 学生寮の売買・評価・コンサルティングを行う専門チームを設けているCBREによると、2016~2017年にかけてはグローバル投資家がデベロッパーの開発した物件を取得するケースが増えた結果、グローバル投資家がリート以上に強い買い手となった。 同社バリュエーション・アドバイザリー&コンサルティング・サービス本部の水谷賀子本部長は「米国の学生寮は国内需要が大半。 そもそも実家から通える範囲の大学に入るケースは少ないため、寮に入って通学することが一般的」と指摘。キャンパスからハーフマイル(約800m)、徒歩10分以内であれば一定の需要は見込めることから、デベロッパーはそうした立地で積極的な開発を進めており、その出口でグローバル投資家が取得する流れができている。 欧州の学生寮マーケットは英国が中心。特化型リートは3銘柄ある。米国と比べると規模が小さいオペレーターが多く、英国内で名が通った会社だけでも50~60社を数える。 イギリスの大学に対しては旧大英帝国の植民地だった国々の富裕層が、子どもの将来を考えて英国の大学に留学させようとする特有のニーズがある。 このため英国の学生寮は、こうした比較的ハイエンドの留学生を狙った高スペックの物件が多い点が大きな特徴と言える。 シンガポールのソブリンウェルスファンドであるGICは2016年に、英国で設立され世界8カ国で学生寮の開発・投資事業を展開するGSAと、英国とドイツにおいて学生寮のポートフォリオを構築するための提携を結んでいる。GICは2018年に入ってCPPIB(カナダ公的年金基金)と組み、米国の学生寮ポートフォリオを11億ドルで取得しており、グローバルで学生寮投資に積極的だ。
「不動産経済ファンドレビュー」とは 株式会社不動産経済研究所が発行する不動産金融の専門誌。不動産投資マーケットや不動産業界に関する最新動向、注目の企業・人物、大型物件の取引事例、話題の開発プロジェクト、バリューアップ事例などを紹介。Jリートのパフォーマンス分析、金融機関の不動産関連投融資データ分析、業界通による覆面座談会なども掲載する。月3回発行、2005年3月に創刊。 株式会社不動産経済研究所ホームページ
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