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【特別寄稿】不動産マーケット・フォーカス 不動産マーケットで今注目されている動きとは? その背景や今後の見通しは? 不動産マーケットの今を連載・深堀りしていきます。(不動産経済研究所が発行する「不動産経済ファンドレビュー」の連載「FOCUS」を再編集して掲載)
リテール市場への投資動向が旺盛だ。他のアセットとは違いボラティリティが大きいためそこを目指して狙う投資家がいる一方で、オフィスと並んだアセットとして長期安定を目指した政府系資金が注がれたことも記憶に新しい。古くて新しいリテールアセット市場の動向を見る。
プライムリテールはなかなか物件の供給がないなかで、あると高値で取引されやすい。需給が逼迫している。 一方で、ここへきて注目されているのが近隣型スーパーだ。毎日の生活で必要不可欠な生鮮食料品はスーパーマーケットの牙城が残されている。 日用品や買回り品ではなく、いつも行く駅から徒歩圏内のスーパーは意外と固い。そういう意味でいうと、投資家の思考として少しでもリスクを回避でき、安定的な運用をするならば、SCよりスーパーという人が結構いる。JLLの赤城威志リテール事業部長は「海外の投資家でも、数年前から銀座を買いたい、渋谷を買いたい人がいたが物件がないので、その当時からSCに目を向けずに、近隣型のスーパーを主体とした私鉄沿線のスーパーをターゲットにした海外投資家もいた」と振り返る。 必然的に必要なもの、余裕があって買いに行くものではなく、いつも必要なもの。そういうリテールは大丈夫と見る人が常にいる。
Jリートも工夫を凝らしている。投資法人みらいが運用する「奈良平成プラザ」は、1989 年に竣工した再生物件だが、地域に合わせて売り場面積をダウンサイズし、そのかわりにコト消費に割り振ることに取り組んだ。8~9割を地元住民に使ってもらう前提で、奈良という立地を意識して簡易型宿泊施設を作った。滞在時間が少ないといわれる修学旅行生を留まらせるため、エンターテインメントや美術館も作るなど、観光型商業施設ともいえる物件として安定収益を狙っている。 リテール市場は消費者態度指数が改善を続け、株高が続き、労働市場の需給の逼迫が賃金上昇につながれば、安定的な成長が見込める。訪日外客による旅行消費も売上増の一助になっている。投資総額の伸び率と個人消費の伸び率には高い相関関係が見られ、それに基づけば今後も前年比で単純計算でも伸び率が見込める。 一方でリテールは個別性が強い。ルイヴィトンを上海ではなく東京で買うといった行動がリテール市場を下支えしている面もある。それゆえオフィスや物流とは異なり、間口や床面積の違いで隣同士でも賃料が半分になることありうる。裏を返せばテナントは価値に負担する。リーマン前を超えた賃料を払うテナントの数はピーク時に3~5社いたが、今は悪くなったとはいえ1社いれば勝ちといわれる。落ちる要因が見当たらないリテール市場は奥が深く、新たな展開を見出すことが出来るのかもしれない。
「不動産経済ファンドレビュー」とは 株式会社不動産経済研究所が発行する不動産金融の専門誌。不動産投資マーケットや不動産業界に関する最新動向、注目の企業・人物、大型物件の取引事例、話題の開発プロジェクト、バリューアップ事例などを紹介。Jリートのパフォーマンス分析、金融機関の不動産関連投融資データ分析、業界通による覆面座談会なども掲載する。月3回発行、2005年3月に創刊。 株式会社不動産経済研究所ホームページ
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