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共有スペースで過ごしたくなる――ライフスタイル型ホテルは定着するか①


東京や京都など日本を代表する主要都市で、ライフスタイル型と呼ばれる新しいタイプのホテルが注目を集めている。客室をスタイリッシュに仕上げる一方、宿泊者同士、もしくは宿泊者と第三者が交流でき食事などを楽しめる共有スペースを積極的に作り出す。そうした特徴を持つライフスタイル型ホテルの現状と今後をレポートする。

クラフトビールや音楽などイベントを定期開催
ナイトライフを楽しめるカルチャー醸成も

ライフスタイル型ホテルの開業、計画が相次いでいる。2017年11月には東京・錦糸町と大阪・本町の2カ所にマリオット・インターナショナルが展開するライフスタイル型ホテルブランドの「モクシー」が、2018年1月にはハイアットの最新ライフスタイルホテルブランドの「セントリック」が東京・銀座に開業した。2020年には、マリオット・インターナショナルの最高級グレードに位置づけられるラグジュアリーライフスタイルホテルブランド「エディション」が東京・虎ノ門と銀座の2カ所にオープンする。

急ピッチで日本にも増えつつあるライフスタイル型ホテルとは、果たしてどのようなホテルなのか。モクシー東京錦糸町の経営会社を所有するパシフィカ・キャピタルのセス・サルキン社長は言う。「一言でいえば宿泊者同士、もしくは宿泊者と第三者とのふれあいの場所が充実しているホテル。飲んだり食べたりボードゲームをしたり、いろいろなことをして時間を費やすことのできるスペースを確保している」。

1980年代から2000年代初めに生まれた若年層のミレニアル世代をターゲットとするモクシーの場合、チェックインやチェックアウトはバーカウンターで行い、1 階に飲食の機能のほか、ソファやテーブル、ボードゲームができるスペースを確保。週に1、2回はDJを招いたり、地酒やクラフトビール関連のイベントを実施したりしている。モクシーのテーマである「音楽」を盛り上げようと、フロントスタッフにはホテル経験がない人材をあえて採用。既存の常識や枠組みにとらわれず、柔軟な発想で歌やダンス、楽器を用いた空間を演出していくためだ。

また、ホテル滞在中にはできるだけ共有スペースで時間を過ごしてもらえるよう、客室には冷蔵庫を置いていない。「当初はパジャマやスリッパも用意していなかったが、お客さんから要望が多かったため導入した。ただし冷蔵庫については今後も設置する計画はない。時間がかかっても、ライフスタイル型ホテルという新しいコンセプトを理解してもらうよう努めたい」(サルキン氏)。料金が1万円台半ば程度とリーズナブルなモクシーは、ライフスタイル型ホテルならではの施策でビジネスホテルとの差別化を図っている。

「モクシー東京錦糸町」の客室 モクシー東京錦糸町の客室。テーブルとチェアを折り畳み式にし宿泊者が目的に合わせて利用できるようにした。

2020年に虎ノ門と銀座に「エディション」をオープンする森トラストでは、ライフスタイル型ホテルを東京の都心の活性化につながるものと捉えている。同社の増永義彦・不動産開発本部管掌取締役は「一歩先の空間・サービスを提供するのがライフスタイル型ホテル。例えば観劇の後にも楽しめるような機能を充実させ、都市のナイトライフを楽しむカルチャーを醸成していきたい」と意気込みを語る。

具体的には、東京エディション銀座には上層階にレストランやルーフトップバーを、東京エディション虎ノ門にも上層階にバーやレストランを設けるなど、感度の高い層を満足させる施設を設ける一方で、客室についてはスタイリッシュな空間を志向。快適に過ごせる部屋でありながら、外にも出かけたくなる絶妙のバランスを追求するという。

訪日外国人観光客は2017年に2800万人を突破し、訪日客消費額は初の4兆円超えとなったが、1人あたりの消費額は前年の1.3%減。消費額を伸ばすには買物や宿泊以外の選択肢を増やす以外にない。日本のアイデンティティを表現するライフスタイル型ホテルは、インバウンド市場の未来をも担っている。

エディション銀座 エディション銀座はルーフトップバーでナイトライフを演出

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