トランクルームマーケット情報

セルフストレージの雄、追加物件取得にも意欲


物件の自社保有を基本とし、セルフストレージ業界で急拡大

「トランクルーム」や「レンタル収納スペース」など、一般消費者でも気軽に利用できる倉庫・収納スペースの総称として呼ばれるセルフストレージ。

このうち「レンタル収納スペース」に該当し、同業界で1、2を争う収益・ユニット(スペース)数を誇りながら、直近の5年間でも毎年20%ものペースで収益を拡大しているのがキュラーズである。同社は2001年に創業。築古ビルや住宅街に立地するビルといった未稼働・低稼働物件を適正価格で取得し、 用途変更・リノベーションを施したうえで直営店舗として営業するというビジネスモデルだ(一部で賃貸店舗もある)。現在は国内主要都市を中心に45店舗を展開し、今年だけで6店舗を新規出店している。

同業他社の多くは「サブリース」、「業務受託」といった運営形態をとっているのに対して、キュラーズは「自社物件」が基本となるため、内装や提供サービスの内容に自由が効く。特に即日対応が可能な契約室の設置、24時間の湿度・温度管理、セキュリティ等のサービスの質を重視し、その結果他社よりも比較的高い利用料を設定しながらも、長期間にわたって安定的な入居率を維持している。フロア内に広い通路が必要となるなど、通常のオフィスと比べて賃貸可能面積は減少する一方、より細かな区割りや料金設定が可能となるため、オフィスとして運用するよりも高い利回りを見込める。

今後の拡大意欲も十分、物件情報取得と認知度拡大に注力

キュラーズが今後さらなる成長を遂げるために推進している施策は「物件情報の収集強化」と「セルフストレージビジネスの認知度拡大」である。

まず同社が求める物件は、現状、オフィス・店舗・倉庫等として使用されている物件で、規模としては取得・賃貸ともに延床面積300~750 坪程度(全空室)。築年数は新耐震基準以降で、確認申請書・検査済証が完備しており、平置き駐車場スペースが確保されているといった内容だ。また賃貸の場合は建物を24時間使用できることが条件。取得・改修費用は1物件あたり最大でも合計10 億円程度としている。

地域としては首都圏が中心となるものの、地方都市においてもまだ店舗数の少ない横浜・神戸・福岡を重点的に検討したいという。いずれも立地は「駅近」であることを重要視していない。

そして、「セルフストレージビジネスの認知度拡大」。同社が創業以来一環してビジネス規模を拡大させている一方で、国内市場に関する統計情報がほぼ皆無だという状況があり、業界外からはその有望性が伝わりづらい面があった。金融機関からの資金調達にも関連してくるテーマであるため、同社は自身で調査データやレポートを作成し、公式HPを中心に広く発信している。

同社は、今後3年間でさらに20店舗ほどの新規出店を行いたいとしている。同社代表取締役のスティーブ・スポーン氏は「いずれはセルフストレージビジネスの安定性・成長性が不動産金融マーケットで評価され、新たなアセットタイプとしてマーケットが形成されていくこととなるだろう」として、さまざまな手段による資金調達の手法・事業機会の拡大を模索していく考えだ。

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