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この記事は、月刊プロパティマネジメント2017年8月号にて掲載されたインタビュー記事を引用したものです。 『セルフストレージ 小契約金額と低解約率 価格調整力に優れる』フランク・ハリソン氏(キュラーズ)
セルフストレージとは、個人向けレンタル収納スペースの総称で、キュラーズが実施した2017年の調査では、国内市場は約507億円、8,000店舗・37万室の規模。過去6年間で毎年8%の市場拡大を続ける成長産業だ。 セルフストレージ先進国の米国は、市場規模が約230億米ドル、全米の世帯数に対して約10%の普及率といわれている。対する日本は東京23区で同1.4%、全国平均で同0.3%に留まるなど、まだまだ伸長の余地は大きい。 セルフストレージ投資の魅力は、【1】収益の長期安定性、【2】賃料の価格調整力の2点にある。オフィスや住宅と比べ1室あたりの契約金額が小さく、かつ解約率も低いため、一度満室になれば、多少の出入りがあっても安定的に稼働・収益を長期間維持できる。また自店舗の稼働率や他店舗との競合状況によって、新規募集賃料を適宜改定できるため、インフレ局面での価格調整力にも優れる。
なお長期安定である反面、物件調達からコンバージョン、リースアップ期間を含めると、他アセットと比較して安定稼働までに時間がかかる。特に大型店舗については複数年かかるのが一般的で、短期的なリターンを求める投資家には手がけにくいアセットとなる。 もちろん、安定稼働の大型店舗を複数棟所有できれば、景気変動にも非常に強い魅力的な“コア資産”となり得る。日本では取引事例が少ないが、米国ではセルフストレージ上場REITのキャップレートがオフィスビルよりも低く、リーマンショック後にも比較的、安定稼働を維持し続けた実績がある。
国内のセルフストレージは「トランクルーム」という名称を使う運営事業者が多く、消費者にも馴染みが深い。各社の事業モデルはほぼ共通で、遊休地・空きビル・空フロアを保有するオーナーや地主への有効活用提案で店舗数を増やしている。 オフィスビルなどをコンバージョンする屋内型と、郊外の遊休地にコンテナを置く屋外型の2タイプに分けられ、市場規模はどちらも250億円程度。屋内型は天候に左右されない利便性や、セキュリティ面が好まれるポイントでその分賃料が割高になる。現状のところ店舗間の競合は少ないが、今後はマーケットの広がりとともに優劣が出てくるのではないか。 キュラーズは現在、屋内型のセルフストレージを57店舗・3万4,000室運営し、2020年までに100店舗体制を目指している。3km圏で人口10万人程度の住宅立地をターゲットに、10都市で展開中。特に東京23区は需要が非常に強く、出店余地も大きい。 キュラーズの特徴は、基本的にビル1棟を土地・建物ごと自社で取得・保有する出店戦略を採っている点。取得かサブリースかは、運営事業者により判断が分かれるが、エレベーターや通路など共用部をセルフストレージ専用に変更でき、敷地内の駐車場確保や、屋外看板の設置で建物全体をPRに活用できるなど、取得のメリットは大きいと考える。 事業展開にあたりスケールメリットは重要だ。屋内型の他社店舗は、1棟で100室程度の小規模ビルやワンフロアのみの店舗も多いが、空調設備への投資やスタッフの常駐体制などを考えると投資効率が悪い。キュラーズは1棟あたり、1,000~3,000㎡・300~1,000室を確保できる空きビルに集中投資し、2016年は7物件を60億円で取得している。 直近のソーシング状況について、ここ1年間は金融機関の融資姿勢が良好であるため、空ビルであってもオフィスビルとして保有し続けるオーナーが増えている。また、比較的駅に近い立地ではマンションベロッパーとの取得競争となるので、駅から15分程度の車での搬入に便利な幹線道路沿いへの出店が増えている。一方、新築マンションの価格高騰で、専有面積の狭いマンションが多くなれば、必然的にセルフス トレージに荷物を預ける利用者が増えるなど好影響も予想される。 この7月には、大手不動産事業者のいちごによる、セントロのM&Aが発表された。セントロ子会社のストレージプラスを通じたセルフストレージへの事業参入などで関連プレイヤーの数が増え、市場が活性化することを期待したい。また長い目でみれば、国内REITによるセルフストレージの取得や、特化型REITの登場も予見されよう。
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