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この記事は「不動産経済ファンドレビュー」2015年3月25日号(不動産経済研究所発行)より引用
約20年前に誕生した日本のトランクルーム業界。順調に市場規模を拡大し、2013年には 400億円を突破。500億円達成も目前だ。建築確認申請の厳格化により屋外型の伸びがやや疑問視される一方で、屋内型は法人需要や親世代の実家の整理需要などを背景に、さらなる伸びが期待される。大手の取り組みを追った。
断捨離や片付けに関する本がベストセラーを記録する国、日本。「増えすぎたモノをいかに減らし整理するか」という意識の高まりを背景に、市場規模を順調に拡大しているのがトランクルーム業界だ。 業界最大手のキュラーズが毎年実施している「Annual Supply Survey」の試算によれば、屋内・屋外を含むトランクルームの市場は毎年 10%の伸びで成長を続け、2013年には463億円規模に達した。これは、2008年比の1.6倍にあたる数字だ。 2013年の総店舗数は 6200店舗、ユニット(室)数は28万5000室。同調査では「2008年からの6年間と同じレベルで市場が拡大すれば、東京オリンピック開催の2020年には700億円、2027年には1000億円市場へと成長する可能性あり」と見込んでいる。 業界大手のエリアリンク(ブランド名は「ハローストレージ」)も、10年後に市場規模は倍増し、60万室、1000億円規模に達すると予測。屋外型については野積みコンテナが社会問題化しているように、建築確認申請を経ずに市場が広がった背景もあり、長期的に見れば、これまでと同じペースで成長するかには疑問符がつく。今後は、屋内型トランクルームが堅実に伸び、市場全体の成長を支えていくと見てよさそうだ。 屋内型トランクルームの用途は主に 3つに分けられる。1 つは引越しや海外赴任などに伴う一時的な利用。平均利用期間は短く、1カ月から2カ月程度だ。2つ目が「家の外にあるクローゼット」のような使い方で、平均利用期間は 2年。季節衣料やスポーツ用品の預け入れが多い。3つ目が法人利用。中小企業が商品在庫やファイル保管に借りるという用途で、利用期間は 3年から4年と長くなる。 3つ目の法人利用の伸びが順調と話すのは、キュラーズのスティーブ・スポーン社長。「構成比でいえばまだ全体の10%にすぎないが、伸びしろは大きい。法人営業専属のスタッフを入れ、Webサイトでも法人向けコンテンツを追加し、法人需要の掘り起こしを図る」
キュラーズの店舗数は、2015年3月時点で 48店。利用者は 2万6000人におよび、稼働率は平均87%で推移している。6月にはさらに1店増える予定だ。土地建物を取得した上でトランクルームを運営している同社の物件選定基準をスポーン社長に聞いた。 「まず人口密度が高い住宅地であること。ユーザーにとって便利な立地であることが重要だ。主要な通りに面し、近隣におけるプレゼンスがあるという条件も欠かせない」。 キュラーズはビル1棟を丸ごと所有し、全館をトランクルームとして利用しているため、平均ユニット数は500~600室。他社よりもユニット数が多いため、利用者を集め、部屋を埋めるのに時間がかかるデメリットはあるものの、メリットも多い。 整備された駐車場、常駐スタッフ、ビル全体でのセキュリティや空調システムなどは、1棟丸ごと所有・管理するからこそ可能な設備。2015年度オリコン顧客満足度ランキングのトランクルーム部門で6年連続ナンバーワンを獲得し、トランクルームを初めて利用したという客が90%を占めているのも、キュラーズのこうした特徴が消費者の信頼を得ているからだろう。 物件の大規模化は現在のトランクルーム業界のトレンドともいえる。
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