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不動産経営を始めるにあたって、決めなければならないことは多岐にわたります。最も重要なのが「何を建てるか」「何を取得するか」なのはいうまでもありませんが、実はその選択を左右する要素があります。それは「その物件がどこにあるか」。つまり立地です。 不動産でいう立地は、単に物件の場所を示すだけではありません。その土地の形や接する道路、土地の傾斜や用途(都市計画法で定められている場合があります)、さらには隣接地の日照なども考慮しなければならないのです。それらの要素を全て考慮に入れつつ土地がもつビジネス性までを含めて総合的に判断するためには、専門的な知識が必要といっていいでしょう。しかしすでに土地を所有している場合、これらの条件はオーナーにはどうすることもできません。土地は動かせないのです。
立地が動かせないのであれば、その土地を最大限に活かせる物件を構築する以外に選択肢はありません。具体的には、まずはじめにその土地が持つポテンシャルを完全に理解します。もちろん、前述した土地の形状や用途などの条件も考慮に入れます。次が重要なポイントですが、ニーズの徹底的な調査を行います。これはエリア内だけでなく、鉄道沿線や近似する条件を持つ他エリア、さらには全国的な動向も要素に加えましょう。その上でポテンシャルが活かせる物件を構築した際の収益性を判断し、可否をだします。 このなかで最も判断基準の幅が広く、かつ重要なのがニーズについての捉え方です。立地におけるニーズの捉え方としては、「面」と「点」という概念があります。面とはエリアの特性、点とは、その物件が位置する場所です。 まず面的な要素ですが、これは住宅街なのか、オフィス街なのか、あるいは商店街なのかといった見方だけではありません。住宅街であれば、どんな層の住人が多いのか、どんな広さの物件が多いのか、通勤圏はどこまでか、子供はどの学校に通うのか、買い物はどこでするか、なども考慮に入れます。その要素は多ければ多いほど良いといって過言ではありません。データは詳細であればあるほどそのエリアの特性をより深く理解できるのです。これはオフィス街や商店街も同様で、どんな業種が多いのか、どんな客層かといった情報は、可能な限り多く集めましょう。 次が、点的な見方です。具体的に物件がどこにあるかですが、これは最寄りの交通機関からの距離や経路だけでなく、隣接地の状態や日当り、商店街であれば人通りなども考慮に入ります。これら考えうる要素を全て入れたうえではじめて、何を建てるかが決まるのです。 一見すると住宅を建てたほうが良さそうな場所でも、詳細に調べてみたらニーズがほとんど無かったということもあり得ます。また同じ住宅でも、セレブにとっての好適地は一人暮らしの学生にとっての好適地ではありません。立地に縛られるのではなく、収集した情報のなかから的確なニーズを抽出できれば、既存の概念を覆す物件の構築さえ不可能ではありません。情報を制するオーナーは、立地を制することができるのです。
不動産ビジネスライター 久保純一 氏 不動産専門紙などで専属記者として、不動産ビジネスの最前線を長年にわたり取材。徹底した現場主義による、綿密な取材に基づいた記事には定評がある。独立後、不動産ビジネスにまつわる豊富な知識、経験を元に、現在は不動産経営者向け専門紙、物流不動産ビジネス誌、経済誌、専門サイトなど幅広いフィールドで活躍中。
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