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不動産経営と聞いて最初に浮かぶのは、アパートやマンションなどの賃貸住宅経営ではないでしょうか。 空き家が増加する一方で新築賃貸住宅の供給が続き、競争が激化しています。賃貸住宅経営はかつて言われたような、何もせずに家賃収入が入ってくる、いわゆる不労所得ではなくなっています。オーナーは入居者の快適性を維持し、その生命と財産の安全を守らなければならないのです。ただ座して家賃の振り込みを待っていればいいようなものではなく、むしろ純然たるサービス業ということができます。手を打たなけれれば生き残れないのは、他の業種と同じなのです。
こうしたなか、打つべき一手として有効なのが他物件との差別化です。アパート・マンションには、オフィスビルや店舗物件に比べ他物件と差別化できるポイントが多くあり、その効果も大きなものとなります。ではどのような箇所を差別化するべきでしょうか。 差別化というと建物を個性的なデザインにしたり、内装を改装したりといった手法が思い浮かぶかも知れません。確かにこうした施策も効果的ですが、そのぶんコストもかかります。そこでまず検討したいのが入居者サービスの充実です。といっても、内装をキレイにクリーニングして、水まわりの使い勝手を良くし、設備も最新のものに入れ替え、通信環境も整えて、ということではありませんし、礼金無料やフリーレントなどでもありません。これらは誰でも思いつく事ですし、むしろ賃貸物件のオーナーなら当たり前のこととしてとらえるべきでしょう。ここでいう差別化とは、他には無い機能やサービスを付加して物件の価値を高めることをさします。 例えば駅まで距離があるアパートの場合。ある物件では、入居者に自転車をプレゼントして喜ばれています。別の物件では駅からの距離をあえて強調し、運動不足の人に向けた募集戦略で入居者を集めました。それをさらにすすめて共用部に体重計を設置し、痩せた分だけ家賃を減額するというアパートも登場しています。いずれの物件も、一般的に弱点とされる駅までの距離を逆手にとったサービスで入居者を集め、高稼働を維持しているのです。差別化はこのように、発想の転換から生まれることが多くあるようです。 こうした視点で見ていけば、物件を取得する際の判断基準も大きく変わってきます。既存物件を購入するにしても新たに建てるにしても、重要なのはこのアパートに住みたい、このマンションで暮らしたいと思わせるような物件の構築であって、利回りではありません。入居者から選ばれる物件を構築できない限り他物件との競争はずっと続きますし、そもそもそんな物件に高い利回りは期待できません。その一方で、築年数や立地にかかわらず高稼働・安定収入を実現している物件が少なからず存在しているのです。 「ここに住んで良かった」。そう言ってもらえる物件にできるか否かは、全てオーナーの力にかかっているのです。
不動産ビジネスライター 久保純一 氏 不動産専門紙などで専属記者として、不動産ビジネスの最前線を長年にわたり取材。徹底した現場主義による、綿密な取材に基づいた記事には定評がある。独立後、不動産ビジネスにまつわる豊富な知識、経験を元に、現在は不動産経営者向け専門紙、物流不動産ビジネス誌、経済誌、専門サイトなど幅広いフィールドで活躍中。
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