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シェアハウスは寝室以外のリビングやキッチン、浴室、トイレなどを共用とし、複数の住人が共同生活する住居やその居住スタイルを指します。生活家電が用意され家賃も比較的低廉なため人気となり、1990年代以降はブームといえるほど数を増やしました。数が増えると、利用者はシェアハウス内のコミュニティなど一般の住宅にはない付加価値を重視する層と、家賃が低廉で手軽に入居できる点を重視する層に二分化されます。家賃の安さのみを売りにした脱法シェアハウスの出現もありブームは沈静化したかに見えますが一定のニーズは現在でも存在しており、住宅のスタイルあるいは不動産の1ジャンルとして完全に定着したといっていいでしょう。
しかしシェアハウスはルームシェアを出発点とする概念のため、運営者の多くは個人でした。建物も一般的な一戸建て住宅が主流で、ビジネスとして位置づけるとどうしてもサービスの提供に限界があり、設備面でも利用者ニーズとの乖離が見られることが少なくありません。こうしたニーズを汲み取り、2000年ごろから資本力のある不動産会社などが運営するシェアハウスが増えはじめました。組織的な管理によって一定のクオリティが担保されることで誰でも安心して入居できるようになり、シェアハウスが賃貸住宅の1ジャンルとして認識されるようになったのです。やがて個室のプライバシー向上と他のシェアハウスとの差別化、機能・設備の充実を含むさらなる付加価値が求められるようになると、寮として使われていた建物を改装した大規模なシェアハウスが出現しはじめます。 大規模シェアハウスの出現は集合住宅への回帰を予感させるものでしたが、実際に形となったのは従来の集合住宅とは異なる、ソーシャルアパートメントと呼ばれるスタイルの住宅でした。これは集合住宅の共用部に広々としたリビングなど入居者が交流できるスペースを設けたもので、シェアハウスにおけるコミュイティの良さを残しつつプライベートな空間を充実させたという、いわば良いとこ取りのスタイルです。共用部には音楽スタジオやジム、ガレージなどが設けられているものもあり、自分の趣味やライフスタイルを充実させられる物件として人気が高まっています。そしてこのソーシャルアパートメントは、投資先としても注目を集めつつあるのです。 2015年にはソーシャルアパートメントを組み込んだ物件が不動産小口化商品として販売されたほか、同様の物件が投資物件として販売されました。またシェアハウス向きの物件を専門に扱う不動産情報サイトなども出現しており、投資家に向けた展開が本格化しています。これまでもシェアハウス向きの一戸建て住宅が販売されることはありましたが基本的に個人向けで、オーナー自身の運営を前提としたものでした。個人オーナーから機関投資家、そして個人投資家へと、シェアハウスは形態が進化するとともに投資物件という性格が強くなっていくようです。
不動産ビジネスライター 久保純一 氏 不動産専門紙などで専属記者として、不動産ビジネスの最前線を長年にわたり取材。徹底した現場主義による、綿密な取材に基づいた記事には定評がある。独立後、不動産ビジネスにまつわる豊富な知識、経験を元に、現在は不動産経営者向け専門紙、物流不動産ビジネス誌、経済誌、専門サイトなど幅広いフィールドで活躍中。
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